ロコモティブシンドロームの原因と予防法3選

近年耳にする機会が増えた「ロコモティブシンドローム」はメタボリックシンドローム、認知症と並んで私たちの健康寿命に大きく影響を与える要因の1つです。

ロコモティブシンドロームの原因や予防法、ロコモティブシンドロームかもしれないと気付いた時の対処法など気になる情報をまとめました。

ぜひ参考にしていただいて、人の手を借りずに元気に生活できる期間を延ばしましょう。

ロコモティブシンドロームとは?

ロコモティブシンドロームは通称「ロコモ」とも呼ばれ、和名では「運動器症候群」と言います。
ロコモは骨や筋肉・関節などの運動器の障害によって立ち上がったり歩いたりといった動作が難しくなり、移動機能が低下している状態をさします。
このような状態は、今は日常生活にそれほど支障がなくても状態が進行すると近い将来要支援・要介護状態や寝たきりになるリスクが高い状態にあります。
ロコモの推計患者数は国内に4,700万人とも言われていて、まさしく国民病とも言えるのです。

ロコモティブシンドロームは「人の手を借りずに健康に生きられる寿命(健康寿命)を延ばそう」と2007年に日本整形外科学会によって提唱されました。

高齢化社会である日本では、平均寿命が延び日常生活で支援や介護を必要としている方が増えています。

要介護・要支援となった人の原因の中でも運動器の疾患がきっかけであったケースが多く、寿命が延びている分だけ運動器も健康に保つ必要が出てきています。

ロコモは「運動器は私たち人間の健康の根幹にあり、運動器を健康に保つことを意識しよう」との想いから提唱された言葉なのですよ。

ロコモティブシンドロームの原因は?

ロコモの原因はおもに2つあります。それは【筋力の低下】と【骨や関節、筋肉の病気】です。

≫筋力の低下

私たちの筋力は加齢や運動不足によって低下していきます。

世界有数の長寿国である日本人の平均寿命は現在80歳を超えますが、実は人間の骨や筋肉、関節などの運動器の耐用年数がその平均寿命に追いついていないのが現状です。そのために歳を重ねると自然と筋力やバランス能力が低下し始めて、以前よりも歩く行為がつらいと感じたり、外出を億劫に感じるようになってしまいます。

活動量が減り閉じこもりがちになると、ますます筋力や持久力が低下したりちょっとのことで転倒しやすくなるなど悪循環に陥ってしまいます。

また、運動不足の状態が続いていると若くしてロコモティブシンドロームになる可能性もあります。

筋力の低下は加齢や運動不足により引き起こされますので、意識して適切なトレーニングを行えばある程度は回復させることができます。

≫骨や関節、筋肉の病気

注意したいのは運動器の病気です。中でも骨粗鬆症・変形性膝関節症・脊柱管狭窄症はロコモの【3大原因病】とも言われていて、進行してしまうと自力での回復は困難になってしまいます。

■骨粗鬆症

骨の量が減り、骨の強度が低下してぼろぼろになる病気です。男性も油断は禁物ですが、閉経後の女性に多く、女性ホルモンであるエストロゲンが減少し骨量も急激に減ることで起こりやすい病気です。

骨の形成には太陽の光を浴びると体内で生成されるビタミンDが大きな役割と果たしているため、日光に当たらず運動もほとんどしない生活をしていると新しい骨をつくることができずに骨粗鬆症になってしまいます。

骨粗鬆症は骨がもろくなっていますので、ちょっと転んだだけで骨折してしまうこともあります。骨折により安静にしなくてはいけない期間が長くなると、そのまま寝たきりになったり認知症を発症してしまうケースもありますので注意が必要です。

■変形性膝関節症

「膝が痛くて正座ができない」「立ち上がったり階段の上り下りの動作が億劫に感じる」という場合は変形性膝関節症の可能性があります。

変形性膝関節症は膝関節のクッションの役割をしている軟骨がすり減ってしまい痛みを感じる病気です。軟骨の消耗が進行すると骨同士が直接触れることになり大きな痛みを感じてしまいます。

立つ・座る・歩くなどの日常の動作は膝の関節に大きな負担を与えます。歩くときには体重の2~3倍の負荷が膝にかかるとも言われているため、少しでも痛みがあると動くことに消極的になってしまいがちです。また、「痛みがあるから」と過度に安静にしてしまうと筋力の低下を招き、ロコモティブシンドロームを引き起こしてしまう要因になります。

■脊柱管狭窄症

脊柱管という神経の通り道が狭くなる病気です。背骨の内部にある神経が圧迫されることで足腰にしびれや痛みを生じます。

変形性膝関節症と同様に痛みを感じるために活動量が低下することで筋力が衰えてしまうため、ロコモティブシンドロームの原因となります。

ロコモティブシンドロームを予防する3つの方法!

気づかないうちにロコモになってしまうかもしれない…と考えると不安になってしまいますよね。
ロコモを予防する3つの方法をご紹介しましょう。

≫筋力が落ちるのを防ぐ
運動器の機能を維持するために日ごろからトレーニングを行い、加齢や運動不足による筋力の低下を防ぐことが大切です。

日本整形外科学会がロコモを防止するための提唱したトレーニング方法「ロコトレ」を毎日続けて行いましょう。
ロコトレはたった2つの運動で、必要最低限のトレーニングならば10分程度で行えます。
内容は「片足立ち」と「スクワット」。
片足立ちは姿勢をまっすぐにして片足立ちで1分間保つ動作を左右それぞれ1日3回実施します。
スクワットは脚を肩幅よりも少し広めに開き、深呼吸をするペースでスクワットを5~6回繰り返します。これを1日3回行います。

詳しいトレーニング方法や、この2つの運動にプラスして行うとより効果的な運動の説明は「ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト」に掲載されていますので参考にしてくださいね。

また、筋力低下の防止に関しては、厚生労働省も【+10(プラス・テン)】というスローガンを掲げています。「普段のライフスタイルで10分多く体を動かしましょう」との意味で、日々の積み重ねでロコモを予防することができることを教えてくれます。

エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う、テレビを観ながらストレッチを行う、掃除洗濯をいつもよりもきびきびと行うなど、特別な運動ではなく日常の中で普段よりも少しだけ体に負荷をかけることを意識してみるだけでロコモ予防になりますよ。

≫食生活に配慮する

食生活は私たちの体を作る基礎となる部分であり、健康な体を維持するうえで非常に重要です。

食事は1日3回バランスよく摂ることはもちろん、骨や筋肉を強くする食事を心がけましょう。

意識して摂取したい栄養素は次の通りです。

 

・カルシウム …骨の材料となる

・ビタミンD …カルシウムの吸収を助ける

・たんぱく質 …骨や肉を作る。回遊魚や鶏の胸肉は特に良質な筋力アップ成分を含む

・軟骨構成成分 …プロテオグリカン、ヒアルロン酸などの軟骨を構成する成分

グルコサミンやコンドロイチンはプロテオグリカンを構成する成分の1つなのでプロテオグリカンを摂取した方が効果的

 

これらの栄養素をバランスよく摂取しましょう。

毎日きっちり摂取しようとする必要はありません。1週間の中で整えるなど無理なく続けるのがおすすめです。

また忙しくて食事にこだわる余裕がないという方はサプリメントの活用も効果的ですよ。

食生活に関しては、肥満にも痩せすぎにも注意する必要があります。

太りすぎは足腰に負担をかけてしまいますし、動くことを面倒に感じてしまう傾向にあります。また、過度なダイエットなどによる痩せすぎも低栄養状態を招き、骨や筋肉量が減少してしまいます。血液中のアルブチンなどの栄養素が低い人は、要介護状態になるまでの期間が短いとも言われています。

≫健康診断を受ける

みなさんは健康診断を受けていますか?特に不調を感じていなければ受診しない方も多いかもしれません。

運動器機能の低下や骨や関節、筋肉の病気は気づかないうちに進行していることもめずらしくありません。痛みなど何かしらの症状が出ていなければ自分がロコモだと気付かないこともあります。

仮に進行していたとしてもきちんと治療や対策を行えばロコモティブシンドロームの進行防止にもつながりますので、健康診断を定期的に受診することはとても大切です。

自治体によってはロコモティブシンドロームの健康診断を行っているところもあります。また、女性の場合閉経後は毎年骨粗鬆症の健診を受けることが望ましいと言われており、自治体で健診を行っていることも多くあります。地域の制度を上手に活用してくださいね。

「ロコモに注意しよう」という意識を持っているだけでも数年後、数十年後がずいぶん違ってきますよ。

ロコモかも?と感じたときにとるべき行動は…

自分がロコモかもしれないと感じたときにもっとも大切なことは「放置しないこと」です。

「歳だから仕方がない」「歩くのが遅くなったけれど休みながらなら歩けるから大丈夫」と考えて病院を受診しない人も多いのが現状ですが、

ロコモは早めに受診して原因を見つければ進行を食い止められる可能性が十分にあります。

しかし治療せずに放置してしまうと何年後かには要支援・要介護状態となってしまう危険性が高まってしまいます。

健康寿命を延ばし、介護予防をするには早期発見・早期治療が大変重要ですのでわずかでも痛みや違和感、体の変化を感じたら病院で相談しましょう。

 

生活習慣の乱れを改善してロコモも予防!

ロコモティブシンドロームの原因と予防法についてご紹介しました。ポイントをもう一度おさらいすると次のようになります。

・ロコモティブシンドロームは骨や筋肉・関節などの運動器の障害によって立ち上がったり歩いたりといった動作が難しくなり、移動機能が低下している状態
・ロコモの原因は加齢や運動不足による【筋力の低下】と、骨粗鬆症・変形性膝関節症・脊柱管狭窄症などの【骨や関節、筋肉の病気】
・ロコモの予防には、筋力が落ちるのを防ぐ、食生活に配慮する、健康診断を受けることが重要
・わずかでも痛みや違和感、体の変化を感じたら放置せずに医療機関を受診し、治療・進行を防止することが大切

食生活の乱れや運動不足など生活習慣の乱れがロコモへの第一歩とも言われています。
日ごろから生活習慣に配慮し、運動器の機能を低下させないよう意識して健康寿命を延ばしましょう。

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